2024年7月24日(日本時間)、ドジャースが本拠地でツインズに4-3と劇的な逆転サヨナラ勝利を収めた。この試合の主役のひとりは、間違いなく大谷翔平だった。初回に37号ソロを放ち、自身初の5試合連続本塁打を記録。MLB記録(8試合)に迫る偉業に、ファンもメディアも沸き立った。
しかし、試合後に語られたロバーツ監督の言葉は、少し意外なものだった。「彼(大谷)の5試合連続本塁打は副産物に過ぎない。彼がしているのは、ただチームを勝たせようとすることだけだ」。この一言に、現在のドジャースというチームの強さの本質が凝縮されていた。
チーム全体でつかんだ劇的勝利
この試合、大谷のホームランだけで勝利を手にしたわけではない。先発・タイラー・グラスノーは7回を投げて12奪三振・1失点の快投。7回にはトミー・エドマンが勝ち越し打を放ち、最終回にはムーキー・ベッツの内野安打からチャンスを作り、最後はフレディ・フリーマンの逆転サヨナラ打でゲームを締めくくった。
つまり、スター選手たちがそれぞれの場面で自分の仕事をやり切り、“総合力”としての強さが勝利をもたらしたのだ。
ロバーツ監督はその流れを、「今日はファイトを見せた。フレディに、ここ1か月で最も良かったスイングをさせる状況に持って行くことができた」と振り返っている。これは、単なる偶然の勝利ではなく、チームが意思を持って掴みにいった勝利であることを意味している。
大谷翔平の“勝利への意志”
もちろん、大谷のバットが火を噴いているのは確かだ。37号を含め5試合連続本塁打は、現在のメジャーでも圧倒的な存在感を放っている。
だがロバーツ監督は、記録そのものではなく「勝利に貢献する姿勢」を評価している。「おそらく、50本という数字は頭の片隅にあるのかもしれないが、彼はただチームが勝つために何でもやっている。その結果が数字に表れているだけ」と語るその言葉には、“数字のために戦っているのではない”という大谷の本質を見抜いた信頼が感じられる。
記録よりも、勝利。その姿勢が強さを生む
ドジャースは今後、レッドソックスとの3連戦に臨む。ロバーツ監督は「この勢いを維持していきたい」と語っており、チームのモチベーションは高い。
この日の劇的勝利が象徴しているのは、チーム全員が勝利に向かって動き、その中でスター選手が自然体で力を発揮するドジャースの完成度だ。そして、その中核には、記録にこだわらず、勝利のためにすべてを捧げる大谷翔平の姿がある。
今後も記録は話題になるだろう。だが、それが「副産物」であり続ける限り、ドジャースというチームは、さらなる高みへと進んでいくだろう。